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しゃかえもんのボドゲ説法vol.9 『はやぶさ君の冒険』




しゃかえもんが趣味のボードゲームについてのよしなしごとを、そこはかとなく書き付けるコーナー。あやしうこそものぐるをしけれ。





******




無限に広がる大宇宙――――





ちょうど3年前の昨日、2010年6月13日22時51分。

日本の小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C)が地球に帰還し、大気圏再突入に成功しました。

アポロ群の小惑星「イトカワ」まで観測に行き、その表面物質を持ち帰ってきたのです。地球重力圏外にある天体の固体表面に着陸してのサンプル採集は人類初の快挙でした。



はやぶさが打ち上げられたのは10年前。2003年5月9日13時29分。


年月にして7年1カ月4日と9時間22分、距離にして約60億kmの長い旅でした。



そんな「はやぶさ君」の冒険の旅を追体験できるのが今回のゲームでございます。


写真 (55)



『はやぶさ君の冒険』は日本のメーカー「ワンドロー」による純粋な国産カードゲームです。 デザイナーは中村誠氏※1


ボードゲームはドイツに限る!といわれていたのはもう過去のお話。欧米諸国のみならず、ここ数年アジア圏のデザイナーも注目されており、すでに日本の国産のゲームの中には、ドイツや米国のメーカーでリメイクされたものがいくつもあります。
『はやぶさ君の冒険』も海外で評価されておかしくない良ゲーです。




ゲームの内容は、以前紹介した『パンデミック』の流れを組む全員協力型ゲームです。プレイヤーはJAXAのオペレーションチームとなって、「はやぶさ君」のミッション達成を目指します。

「はやぶさ君」なんてずいぶんナメた呼び方ですが、こちらのJAXA公式の「はやぶさ君の冒険日誌」http://www.isas.jaxa.jp/j/enterp/missions/hayabusa/fun/adv/がもとになっています。

カードのイラストもこの冒険日誌と同じ奥平恭子さんが描いており、親しみのある、素朴な、ともすると学級新聞的、あるいは学研の「科学と学習」的なナイスクオリティで、わたくしは非常に気に入っています。 ※2



「はやぶさ君」にはA~Dの4基のイオンエンジンが搭載されており、プレイヤーは対応するイオンエンジンカードを手札に持っています。

場に一定数のイオンエンジンカードが並ぶと、航路カードがめくられ、「あと50億km!」「あと40億km!」 ・・・と進んでいきます。



しかし、これがなかなか困難な道のりです。

というのも、プレイヤーがイオンエンジンカードを出すときは、全員同時に裏向きに出し、他のプレイヤーと被らなかったカードだけが残るからです。
つまり4人プレイでABBDと出された場合、AとDだけが残り、Bは無駄になってしまうわけ。いわゆるバッティングの要素です。



このシステム、協力ゲームとして、なかなか画期的に感じます。



『パンデミック』http://shakaemon.blog.fc2.com/blog-entry-11.htmlで触れましたが、協力ゲームには宿命的な弱点がありました。
いわゆる奉行問題という、ゲームのうまい人たちだけで作戦を決めてしまい、弱い人はそれに従うだけ、というさびしい状況が起こりがち、という問題です。

それがこのゲームでは「出すイオンエンジンカードは相談してはいけない」というルールのおかげで、だれにも邪魔されず個々人で決めなければいけない瞬間があり、その選択が必ずゲームに影響を与えられるようになっています。

そしてそれはうまくいかないのが普通なので、必要以上にお互いのプレイを責め合うことがなく、逆にうまくいったときには興奮が大きい。

ディスコミュニケーションを前提にしてこそ、それが噛み合った時の感動があるわけです。


個人の尊重はいたるところで考えられていて、トラブルに対処するための様々なアクションカードにはサイコロによる成功判定があるのですが、このサイコロはカードを使った人が振ることになっています。もちろん誰が振っても確率は同じなのですが、「サイコロを振る」という行為だけでも「個人の責任」というものが生まれるので、ゲームに参加しているという感覚は強まるでしょう。主体的に関わっているという意識は何をやるにも大事ですね。



さて、トラブルといいましたが、このゲームでは様々なトラブルカードが山札に混ざっており、2枚以上手札に来るとトラブルが発生します。

「イオンエンジン停止!」でイオンエンジンが1か所出せなくなったり、「通信途絶」で全員アクションカードが使えなくなったり・・・

ほかにも「リアクションホイール故障」「後日点通過」「うすださん悪天候」(?)など、わたくしたち素人には意味はわからないけれどなにかしらヤバいらしい、ありとあらゆるトラブルが続発します。※3



こうしたトラブルカードのせいでゲームはかなりきつい様相となります。

満身創痍でほとんど望みがないような状況の中、カードを出せども出せどもバッティング・・・何度も心が折れそうになります。

以前プレイしたときは、われわれの「はやぶさ君」は「イトカワ」には辿り着いたもののサンプル採集には失敗し、地球まであと20億kmの地点で完全に沈黙してしまいました・・・こんなのってないよ、あんまりだよ・・・ ※4




・・・と思ってあらためて調べてみると、実際の「はやぶさ」の旅も、同じように幾多のトラブルに見舞われていたのでした。
これらのトラブルが、どこまで予測されていたことなのか不勉強なので詳しくわかりませんが、少なくともこのプロジェクトチームの人たちは、「想定外」と言って責任逃れをすることはしなかったのでしょう。ピンチの度に技術と知恵を尽くして、ひとつひとつ乗り越えていきました。
そのレベルの高さには本当に頭が下がります。

しかしときには、人事を尽くして天命を待つ、という局面もあったようです。
2005年12月に「はやぶさ」が一時行方不明になったときには、プロジェクトマネージャーの川口教授は何度も神社にお参りに通ったとか。(日本の神様がはたして宇宙まで管轄しているのかは不明ですが。) ※5



高度なミッションの達成には、相応のお金と技術力、準備のための十分な時間、そして携わる人たちの能力や情熱が必要であり、
それでもなお、運(=宇宙の予測不可能性)にどうしようもなく翻弄される―――


その大前提についてわたくしたちは自覚的であるべきなのでしょう。


そしてだからこそ、たくさんの奇跡を重ねて「はやぶさ君」が帰ってきたことを、あらためて喜びたいのです。 ※6





【今日の教え】


君の小宇宙(コスモ)が呼んでいるんだ!

・・・俺の・・・この・・・「はやぶさ君」を!!!











  • ※1
    中村誠さんの作品では『金色のガッシュベル!! THE CARD BATTLE』が個人的に思い出深いです。「カードを本型のファイルに入れたまま遊ぶ」という斬新なトレーディングカードゲーム。アニメ人気に頼っただけの適当なTCGが氾濫していた時期に、このゲームは非常にインパクトがあって、当時中学生のわたくしはショックを受けたのをおぼえています。http://maco.cha.to/works01.html




  • ※2
    イラストレーターさんだと思ってたら、奥平先生は元宇宙研所属の会津大学の准教授というホンマモンの研究者の方。ひえー。




  • ※3
    ちなみにトラブルの解説がちゃんとカードに書いてあって教育的です。「うすださん悪天候」は長野県の臼田宇宙空間観測所のパラボラアンテナが台風や大雪で通信障害になることだそうな。




  • ※4
    宇宙テーマの漫画・アニメ作品はそれこそ『宇宙戦艦ヤマト』から『宇宙兄弟』まで枚挙にいとまがないのですが、ここはあえて『プラネテス ΠΛΑΝΗΤΕΣ』を挙げたいと思います。宇宙で働くことが当たり前になった近未来。スペースデブリ(宇宙ゴミ)回収屋の主人公たちの青春群像劇。作者が幸村誠氏で中村誠さんと一字違い・・・というだけでなく、宇宙開発の泥臭い部分を描き、「この宇宙で他者と生きるということ」というような深いテーマを扱ったところに「はやぶさ君」との繋がりを感じました(ちょっと暗いけど。)。http://www.amazon.co.jp/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%8D%E3%83%86%E3%82%B9-1-%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0KC-735-%E5%B9%B8%E6%9D%91/dp/4063287351




  • ※5
    ためしに「宇宙 神様」でgoogle検索したら、いろいろ壮絶な検索結果に。。。




  • ※6
    来年2014年には「はやぶさ2」が打ち上げ予定!今度は1999 JU3という小惑星を目指し、2020年に地球に帰ってくる計画とのこと。帰ってきたらまたゲーム化されるといいなあ。「はやぶさ2プロジェクト」ホームページ→http://b612.jspec.jaxa.jp/hayabusa2/index.html






(mixi日記2011.6.13より加筆修正)
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しゃかえもん

Author:しゃかえもん
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埼玉県越谷市あたりに生息。

108の煩悩を操る煩悩マイスター。

非電源系ゲーマーです。(ボードゲーム、カードゲーム、TCG,TRPGなど)

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